もうすぐで三十路のぼっちブログ

生きている感想を書いています。明るくなりたい。

村上春樹の小説はおもしろい

最近、ふと読みたくなって村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み返しました。前回読んだのは10年以上前です。この作品を選んだのは、これが一番すきだったからです。ひさしぶりに読んだのですが、相変わらずおもしろかった。

 実は、長い間、村上春樹を読むことを避けていました。その時周囲にいた人が村上春樹のことを批判していてそれに影響されたのです。その人はゼミの教授だったのですが、彼は村上春樹の小説はいつもセックスと死について書かれている。それは人間であれば誰もが気になることだ。ゆえに主題に興味を持つ母集団が大きい。だから、売れるんだよ、という内容だったと思います。加えて、小説世界が自己陶酔的すぎるという声もありました。村上春樹の小説世界は、自己完結していて、調和を乱す要素がみられない、と。それはインチキだ、と。だから、読者は真剣に不快になったりはしない。読者が揺さぶられるとしても、それはあくまで安全圏内にとどまっている。適度な喜怒哀楽はむしろ快適だ。現実はそんなもんではない。当時の僕は周りがこんなようなことを言うのを聞き、「こんな作り物のぬるま湯につかっていては、人間ダメになる」とマジメに考え、村上春樹的なくつろぎから自分を遠ざけるように仕向けたのです。

 で、ひさしぶりに読んでみたらやっぱりいいじゃん、ってなったわけです。これによって、「これまで自分を変えようとしてきたけど、結局変わらんのよ」っていうことを再認識しました。もういい年だし。だんだん、「このままじゃダメだ」という気持ちよりも、「めんどくさい」とか「別にいいんじゃない」とかが大きくなってきてるのを感じます。体力気力がなくなってきているんでしょうか。別に変わらなくても生きてていいじゃんと思うので、ナルシスト的な「僕」が出てくる村上春樹の小説はすきです。